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大学院からのお知らせ

認知症高齢者における疼痛の有症率と疼痛が認知症の行動・心理状況(BPSD)に及ぼす影響

2016年4月21日 M1  N. Nozue

 

【目的】:認知症患者において疼痛の有症率と疼痛が認知症の行動、心理症状(BPSD)に及

ぼす影響を明らかにする.

【背景】:過去の先行研究から疼痛は老年症候群を悪化させている可能性が高いことが明ら

かになっているが、認知症高齢者は認知機能の低下に伴い痛みがあっても痛みを経験として認知、記憶したり言語的に表現できなかったりする課題がある。その結果認知症高齢者の痛みは放置されやすくBPSDを引き起こしている可能性が高い。

【方法】:認知症と診断された高齢者292名に対して同意の得られた131名を対象にした。

VDSを調査し、痛みなし群、痛みに対して返答の得られなかった不明群、痛みありと回答した3郡に分類し、痛みなし群をベースとした多重比較のT検定を実施。また、GBSスケールを目的変数、APS‐Jを説明変数として単回帰分析を実施、その後年齢とMMSEをコントロールした重回帰分析を実施した。

【結果】:APS‐JとVDSの多重比較の結果APS‐Jの7項目中5項目において痛みなし群と比べて痛みあり群が優位に高かった。GBSスケールのうちA、B、Cを目的変数としAPS‐Jを説明変数とした重回帰分析ではAPS‐Jは優位な促進要因であったが年齢とMMSEをコントロールした重回帰分析でAPS‐Jは優位な関係は認められなかった。GBSスケールのうちDを目的変数としてAPS‐Jを説明変数とした重回帰分析、年齢とMMSEをコントロールした重回帰分析では優位な関係がみられた。

【結論】:認知症高齢者の痛みはBPSDに影響を与えていることが示唆された。また、痛みの有症率に対して鎮痛剤の処方が圧倒的に少なく認知症高齢者の疼痛に対する薬物治療が十分でないことが明らかになった。

 

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【クリティークまとめ】

・認知症高齢者の疼痛は、認知症の行動・心理症状を悪化させる可能性が示唆された。

・考えられる問題点。

①対象者は施設入所者に限定されているので、一般化は難しい。292名のうち、同意が得られたのは131名で、半分以上から同意が得られてない。同意していない方はどのような方であるか不明である。

②評価スケールが信頼性、妥当性が証明されているものかが不明である。特にBPSD尺度があるにも関わらず、GBS尺度のその他の症状をBPSDとして扱っている。GBSの評価は観察と介護記録から情報を得ているので、正確性が不明である。

③BPSDを従属変数として、年齢とMMSEを調整した重回帰分析をしているが、施設環境、認知症の種類、疾患、鎮痛剤内服の有無、要介護度などによってもBPSDが異なる可能性があるので、これらの潜在的交絡因子も調整する必要がある。

・今後の課題:交絡因子を調整することを考えていく必要がある。