岐阜医療科学大学 GIFU UNIVERSITY OF MEDICAL SCIENCE岐阜医療科学大学 GIFU UNIVERSITY OF MEDICAL SCIENCE
  • 地図・アクセス
  • お問い合わせ
  • 資料請求
  • 受験生応援サイト
MENU

大学院お知らせ 大学院お知らせ

大学院からのお知らせ

平坦化フィルタを取り外された放射線治療装置から出力される10 MV X線のビーム特性 Journal of Medical Physics, Vol.42, No.2 (2017)に掲載

“Beam characterization of 10-MV photon beam from medical linear accelerator without flattening filter”, Journal of Medical Physics, Vol.42, No.2 (2017)


Tomohiro Shimozato et al.


【背景】医療用放射線治療装置は、水中に照射された場合にビーム軸から離れた位置においても、ビーム軸位置の線量とほぼ同等の線量が投与し、照射野内の線量を均一化させるために、平坦化フィルタという円錐形の金属を通して照射される。これは、ある程度広い照射野で照射が行われる場合に、腫瘍へ均一な線量が投与されるように工夫されている。近年、高精度放射線治療が盛んに行われるようになってきているが、従来の照射野に比べ、非常に小さい照射野で行われたり、複数の小さい照射野を組み合わせて行われる。この場合、照射野内のビーム軸からの距離も小さくなり、照射野内のビーム均一性を保たずに照射を行えるようになってきた。本研究では、放射線治療装置内の平坦化フィルタを取り除いた場合にX線ビーム特性の変化について調査を行った。


【方法】放射線治療装置の内部に設置されている平坦化フィルタを取り外し、水ファントムに照射をすることで、水中の深部量分布を電離箱検出器を使用して取得した。照射条件は、X線のエネルギーを10 MVとし、照射野を5 cm×5 cm~30 cm×30 cmについて調査した。また同様の設置条件を、モンテカルロシミュレーションで再現し、コンピュータによる統計学的手法による計算結果との一致度を検討した。モンテカルロシミュレーションによる解析によって、各照射野の大きさにおける光子および電子のフルエンス分布を取得した。


【結果・考察】電離箱による実測値とモンテカルロシミュレーションによる計算結果の比較を図1(A)、1(B)に示した。図1(A)はそれぞれの照射野における深部量分布を示している。図1(B)は照射野30cm×30cmの平坦化フィルタがある状態と無い状態の水中における深部量分布を示している。図1(A)のように、各照射野ともに浅い領域では非常に線量の変化が激しく、ある深さを超えるとなだらかに線量が減少していく分布となった。平坦化フィルタのある状態では図1(B)の黒線のような分布となるため、平坦化フィルタを取り除いたことにより、装置内の部品との相互作用で発生した散乱電子が寄与しているものと考えられた。また、モンテカルロシミュレーションの解析結果では、図2のように平坦化フィルタを取り外した場合の電子フルエンスが非常に増加しており、これらの結果からも、電子の量が非常に増加しているものと考えられた。


【結論】現在、このような平坦化フィルタを取り外して照射する装置は、FFFライナックとして商品化されているが、内部構造は企業秘密となっており、公開されていない。図3は本研究で行った平坦化フィルタを取り外した状態のX線ビームに、アルミニウムフィルタや銅フィルタを挿入した際の深部量分布を示しているが、商用されているライナックには、電子線減弱用のフィルタが挿入されているものと予想される。また、モンテカルロシミュレーションなどの計算によって、新たな照射方法の開発も簡便に行えることを示唆した。


  • Figure1A
  • Figure1B
  • Figure2A
  • Figure2B
  • Figure3