“まだ関係ない”と思ってない?ピンクリボンが伝える乳がんのいま
ピンクのリボンは、乳がんの早期発見と治療の重要性を伝える世界的なシンボル。
乳がんは中高年だけでなく、若い世代にも決して無関係ではありません。
今回は診療放射線技師の視点も交え、乳がんと検診の“いま知っておきたいこと”をわかりやすく紹介します。
目次
ピンクリボンってなに?

ピンクリボンは乳がんの早期発見や早期治療の大切さを伝える、世界共通のシンボルマークです。やさしいピンク色には女性らしさや思いやり、支え合う気持ちが込められています。日本でも毎年10月は「ピンクリボン月間」として全国で啓発イベントが開催されており、多くの医療機関や企業で医療従事者がピンクリボンバッジを身につけ、乳がん検診の重要性を呼びかけています。性別に関係なく、多くの人が乳がんに関心を持つことが大切です。
乳がんの基礎知識

乳がんは、日本人女性の約9人に1人が生涯のうちにかかるといわれている、とても身近な病気です。発症は30代以降に増加しますが、20代でもかかる可能性があります。早い段階で見つけることができれば、治療によって高い確率で治すことができます。
そのため、若い世代であっても「まだ関係ない」と思わず、正しい知識を持ち、必要なときには検診を受けられるよう備えておくことが大切です。乳がんについて「知っている」ということ自体が、将来の自分や大切な人の命を守る力になります。
検診で見つける・守る

乳がんを早期に見つけるには、定期的な検診がとても重要です。検診には、手でしこりなどを調べる視触診、乳房のX線撮影であるマンモグラフィ、そして乳房超音波(エコー)検査などがあります。このうちマンモグラフィは、特に小さな病変を発見するのに有効で、診療放射線技師が専門的な技術で撮影を行います。検査では胸を板で挟むため「痛いのでは」と不安に思う方もいますが、技師はできるだけ痛みを感じにくいよう、声かけや姿勢の工夫などを行いながら対応しています。日本乳がん検診精度管理中央機構は、全国の検診の質を維持・向上させるために技術認定や研修を行っており、私たち技師もその基準に基づいて日々努めています。現在では、私のような“おじさん”がマンモグラフィを撮影すると、抵抗感を持たれることもある時代です。乳がん検診は、女性が女性の命を守るために活躍できる貴重な場であり、女性の診療放射線技師は、受診される方の安心を支える重要な存在です。検診は、自身の命を守るだけでなく、将来への不安を和らげることにもつながります。
若い世代に知ってほしいこと

乳がんは40代後半から60代前半にピークがありますが、20から30代で発症する人もいます。若い世代でも無関係ではなく、早期発見のために正しい知識が大切です。特に、母親や姉妹など近い家族に乳がんになった人がいる場合は、リスクが高くなることがわかっています。また、将来、自分が患者になるだけでなく、家族や友人など、乳がんと向き合う誰かを支える立場になることもあるかもしれません。
乳がんの予防には「ブレストアウエアネス(Breast Awareness)」と呼ばれる考え方も大切です。これは、普段から自分の乳房の状態に関心を持ち、変化に気づいたときはすぐに医師に相談するという意識のことです。知識と気づきがあれば、選べる行動も変わります。
それは、未来の自分と誰かを守る大きな力になるのです。
ピンクリボンに込められた想い

ピンクリボン運動は、多くの人に乳がん検診の重要性を理解してもらい、検診を受ける行動を広げることを目指しています。検診を受けることは、自分自身の健康を守るだけでなく、大切な人と過ごす未来を守る選択でもあります。診療放射線技師として、検査を受ける方の緊張や不安を和らげるために、丁寧な声かけや配慮を心がけています。また、男性である私がピンクリボンを身につけるのは、「乳がんは女性だけの問題ではない」というメッセージを伝え、より多くの人に関心を持ってほしいからです。乳がんについて正しく知ることが、未来の自分と誰かの命を守る力になると信じ、多くの人にこの思いを伝えていきたいと思います。
■関連リンク
ピンクリボン運動
https://breastcare.jp/pinkribbon/
日本乳がん検診精度管理中央機構
日本乳癌画像研究会
https://www.jsbci.jp/breast_awareness/