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GIFU UNIVERSITY OF 『麺』DICAL SCIENCE vol.5

私は広報職員O、麺をこよなく愛するしがない大学職員である。 ここは岐阜医療科学大学の学食、またその周辺で食することができる『麺』について、 アラフォーの私が自分勝手に語っていくコーナーである。 今回は、関キャンパス学食より、厳冬を乗り越えるためのアツい一杯を紹介する。

前回の生地(記事)で「急に寒くなった」などと生温いことを言っていたが、年が改まった今となっては、あれは前口上にすぎなかったと白状せねばなるまい。冬将軍の暴威は、しがないアラフォーの末端神経を氷点下に釘打ちし、首元から体温を合法的に強奪していく。寒すぎて「寒い」と発声する権利すら剥奪され、「ぐ…ぎぎ」と摩擦音だけをこぼしつつ学食へたどり着くと、そこに例の救世主が湯気を上げて待っていた。え?麺2倍ですけど何か問題でも?問題があるのは世界のほうで、私ではない。

 

 

『味噌バターラーメン(麺2倍) 420円』

 

 

 

 

芳醇な香りをたっぷりと漂わせた味噌スープの海に浮かぶのは麺の島、モヤシ、ネギ、ワカメ、チャーシュー、そして大統領バター閣下。仕上げに一味唐辛子をこれでもかと降らせば、はい出ました、大正義の完成である。寒さで抑圧された私の食欲はこの大正義の前に暴走するしかなかった。厳冬は敵、対話は無効、ならば喰らう。生きたくば喰らえ。文明開化以前の単純な解が最強である。

 

 

寒月や  味噌の海へと  バター融け

 

一句、出てしまった。古来より日本人は、心を動かされるとこうして歌を詠んでは感情や趣を表現した。味噌の海にバターを溶かし込むという作法が、いかに趣深いか。味噌の剛健は角をやさしく丸め、バターの香と握手して、出てくるのは丸い、温い、抱擁の味。乾き切った冬の空気に虐げられた喉をしめやかに潤し、冷えきった五臓六腑へじわじわ沁み入る。さらに一味のカプサイシンが血流に発破をかけ、内側から発火。気づけば真冬にして額が光り、私は季節に逆らって汗をぬぐっている。これを趣と言わずして、何を趣と呼ぶのか。厳冬にかく汗ほど、背徳的に気持ちのよいものはそうない。

 

 

 

 

ここで告白しておく。私は無類のワカメ好きである。どの程度かと言えば、エースコックのワカメラーメンに追いワカメを山ほど投下して法を犯すくらいには好きである。ラーメンに合う具は何かと問われたら「ワカメ」と即答するだろう。味噌バターをまとったワカメは、もはや崇高。味噌の海に、ほのかな磯が息を吹きかけ、私はその海に溺れるほかなかった。抱かれて、無我夢中で、ただひたすらに喰らう。その姿は間違いなく、一心不乱そのものだった。

 

 

 

ごちそうさまでした。

 

古くから日本の食生活を支えてきた発酵食品である味噌には、たんぱく質や食物繊維といった基本的な栄養素に加え、味噌を作る過程で添加・増加する乳酸菌など、体に嬉しい成分がたくさん含まれている。しかるにこの季節、我々は手足の冷えに気を取られ、内臓の冷えを見過ごしがちだ。末端が温かくとも、内臓が凍えていれば、疲労、倦怠、肩首腰の反乱、消化不和、果ては免疫のサボタージュまで連鎖する。受験を控える諸君、体の芯から火を灯すには、この一杯が手短で確実だ。

 

最後に括弧書きで良識を装う。

(ただし、塩分のとりすぎには注意すること)

いいか、正義も過ぎれば悪徳である。塩よ、控えめに。湯気よ、盛大に。