なぜお薬手帳が生まれ、どのように私たちの健康を守っているのでしょうか。その役割と上手な活用法を紹介します。
目次
「お薬手帳」はなぜ生まれたの?

薬局で薬を調剤してもらう際、ほぼ必ず「お薬手帳はありますか?」と尋ねられるはずです。この手帳には、いつ・どこで・どんな薬が処方されたかが記録されています。
では、なぜ薬を受け取るときに、お薬手帳の提示を求められるのでしょうか。その重要性は誕生の背景から理解することができます。
お薬手帳が導入されたのは1993年、国内の患者15人が別々の病院から処方された薬の併用によって死亡した「ソリブジン薬害事件」がきっかけとなっています。
複数の医療機関を受診している場合、それぞれの医療機関から処方された薬を患者さん自身がすべて把握することは難しいものです。だからこそ、服用している薬の情報を一つにまとめ、医療スタッフが確認できるようにすることが重要になります。
また1995年に起きた「阪神・淡路大震災」では、お薬手帳があれば処方箋なしで薬を受け取れたケースがあり、災害における重要性が認識されて急速に普及するようになりました。
お薬手帳は「薬の記録」だけじゃない

こうしたことから、お薬手帳の意義は、薬歴の記録だけではないことが分かります。
では、薬剤師はお薬手帳を見て、どのようなことを確認しているのでしょうか。
患者が複数の医療機関を受診してそれぞれから薬が処方された時、薬剤師は「同じ効果をもつ薬の重複がないか」「良くない飲み合わせはないか」等の薬の相互作用をチェックします。
また、お薬手帳に記録しておきたいのは、病院やクリニックで処方された薬だけではありません。市販薬やサプリメントも、ご自身でお薬手帳に記載しておくことは有用です。
そうすれば、薬の過剰摂取や効果の減少、副作用の発現といったトラブルを未然に防ぐことができるのです。また、旅行先での受診や救急受診時、災害で避難した場合等においても、服用薬の名前から薬剤アレルギー歴までを速やかに、そして正確に病院や医療スタッフに知らせることができます。
お薬手帳は「お財布」にもうれしい?

お薬手帳を持つことは、患者さんにとって金銭面でのメリットもあります。それは、薬局にお薬手帳を持参すると支払いが少し安くなることです。
原則3ヵ月以内に同じ薬局(かかりつけ薬局)で薬を調剤してもらった場合に限るなど一定の条件はあるものの、持参しない方と比べて自己負担金に差が生じるのです。
普段から同じ薬局を利用するのであれば、お薬手帳を持参する習慣をつけておくとよいでしょう。
また最近では、スマートフォンにダウンロードして活用できる「電子お薬手帳」に、ほぼ全ての薬局が対応できる時代となり、通院時に限らず常に携帯できるよう便利になってきています。
お薬手帳は、自分の健康を守る「命綱」

このように、医師・薬剤師と患者をつなぐお薬手帳は、患者を健康被害から守るだけでなく、災害時の命綱にもなります。そのため、お薬手帳を一人1冊作って管理することを推奨しているのです。
紙でも電子でも、自分が使いやすく、必要なときにすぐ取り出せる方法で、お薬の情報を管理しておきましょう。何気なく持っている一冊が、あなたの健康や命を守る大切な一冊になるでしょう。